研究課題
基盤研究(C)
研究代表者・間宮正幸は、申請書の「研究計画」に従い、前任地(愛知県名古屋市)に赴いて過去に相談援助にかかわり現在は青年期にある軽度発達障害者の追跡調査を行なった。幾人かの調査協力者が得られ、一部では家族との面接も可能であった。しかし、以前勤務していた医療機関では『個人情報の保護に関する法律』(平成15年)等の定めにより、彼らの成長の過程の記録を入手することはできず、これとの照合はかなわなかった。彼らの現在の生活と心理を把握する調査の過程で、ある自立支援センター(名古屋市障害者共同作業所事業補助金対象施設)に、かつて相談を担当した青年の幾人かが集中して「通勤」しているのを知り、その施設を調査の拠点と定めた。そして、軽度発達障害児の経過予後が決して楽観できるものではないこと、とりわけ就労・社会適応が困難であることをまのあたりにした。今後の自立支援においてはどのようなことが求められているのか示唆するところ大であった。さらに主題に迫るために、北海道学習障害児者親の会の協力を得て、青年期軽度発達障害者の「自己」の形成にかかわる面接調査を行なった。成果報告書では、それらの資料のなかでもっとも肉迫すると思われる3例を選択して掲載した。また、フランスなどヨーロッパにおける軽度発達障害児者の発達と教育に関する先行研究を歴史に照らしてまとめた。「自己」の発達とは、生活する主体の成長の過程にほかならないこと、したがって、権利の獲得と一体の課題であることがあきらかになった。それゆえ、調査においても(社会的権利などの)要求revendication socialesを聴くことに徹した。すなわち、従来の如くの自己意識の発達に関する心理学的研究では主題の核心に迫れないことが理解された。この間の研究成果は、日本教育心理学会、日本LD学会、日本生活指導学会などで報告された。研究分担者の田中康雄は、彼らの「自己」の成長を支援する家族会の役割を中心に研究を行なった。報告書には資料としてアスペルガー症候群の家族・家族会・自助グループに関する考察が掲載されている。
すべて 2007 2006 その他
すべて 雑誌論文 (13件) 図書 (1件)
LD研究 第16巻1号
ページ: 25-27
精神科臨床サービス 第7巻1号
ページ: 92-96
日本臨床 第65巻3号
ページ: 532-537
Japanese journal of learning disabilities Vol.16
ページ: No.1 32-33
Nishinkarinsho-survice Vol.7No.1
Nippon Rinsho Vol 65 No.3
ページ: 73-77
生活指導 No.634
ページ: 114-117
発達・学習支援ネットワーク研究 第6号
ページ: 27-46
コミュニケーション障害学 第23巻2号
ページ: 207-214
Seikatsushido No.634
Study of learning support networks (Grad. school of Education, Hokkaido University) No.6.27-46
Japanese-language edition by Akashi Shoten
The Japanese journal of communication disoders vol.8 No.3
ページ: 308-316