研究課題/領域番号 |
17530468
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
菊池 武剋 東北大学, 教育学研究科, 教授 (90004085)
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研究分担者 |
加藤 道代 東北大学, 大学院教育学研究科, 助教授 (60312526)
沼山 博 仙台白百合女子大学, 人間学部, 助教授 (00285678)
福島 朋子 いわき明星大学, 人文学部, 助教授 (10285687)
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キーワード | 教育系心理学 / 生涯発達心理学 / ハンセン病 / 自伝分析 / 生態学的システム論 / ライフストリー / ライフコース / ライフイベント |
研究概要 |
本研究は、ハンセン病元患者の自伝や語り聞きなどの一次資料を再検討し、またハンセン病療養所入所者に対する面接調査等を行うことを通して、彼らの一生を、昭和初期から現在に至るまでの社会・文化的変動と関連づけて記述し、それらの相互作用の変遷という形で、彼らの生涯発達の過程を明らかにすることを目的とする。平成18年度は、面接調査に協力者で、かつ自伝や著作等を公刊されている方について、まず自伝や著作、これまでの面接等を基にした「人生年表」を作成した。と同時に他のハンセン病関連の資料とこの年表とをつき合わせることで、各人のライフイベントの背景も年表に加えた。そして、そのうえで、この年表について本人による確認を行った。こうして出来上がった「人生年表」を概観すると、彼らの生涯もやはり日本の戦後史の一部分であり、戦後の政治的、経済的な変遷のなかで、ハンセン病に関する政策が変わり、それが療養所内、そして当人の周辺へと影響が及び、最終的には当人の人生にも影響が出てくる様子が記述できた。しかし一方で、同じような状況のなかでも、人によって認知や行動に違いがあることもあり、人間はマクロレベルの影響を必ずしも一方的に受けるのではなく、状況をその人なりに解釈したうえで、集団や社会へ向けて働きかける存在であることも示唆された。特に療養所自治会等の元患者が連帯して、政府への運動や折衝を行い、それが国の政策に大きな影響を与えたという事実は、マクロなレベルへの働きかけが効を奏した例であり、他の人々との対比上、特筆すべきことである。
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