研究概要 |
本研究は乳幼児の仲間関係に焦点化し,遊びの指導と子どもの自発的な遊びの援助プログラム作成のための準備として乳幼児の遊びと保育者援助の実態の解明を目的とした。 2005年10月から2006年3月まで幼稚園3歳クラス,保育所0・1歳クラスと2歳クラスを観察した。この観察資料から作成した事例を分析し考察した。仲間関係の特徴は,0歳クラス児では親和的かかわりが期間を通して多い。1歳クラス児では当初は攻撃的関与が多いものの,冬休みを境に親和的関与が増加した。攻撃的関与は物の奪い合いが最多であるが,冬休み後は自制するようになつた。保育者援助は攻撃行動の制止が最多であるが,それによって関係修復までには至らない。2歳クラス児では仲間関係は遊びに依存していた。男女児共にいわゆる「ままごと」が多く,様々なかかわりをしていた。険悪なときユーモラスな発話をして,場の雰囲気を一変させることがあった。保育者援助では解決を急ぐあまりに不適切な指導が見られた。3歳クラス児ではごっこ遊びが主流となっていた。初期は保育者の援助がないと進展しなかったが,次第に子ども達だけでも展開するようになった。怪獣のような悪役をやる幼児が登場し対立関係のあるごっこ遊びが展開し仲間関係も深まった。保育者が遊び込めない子どもをときどき見過ごすことがあった。遊び込めない子ども達がしばしばトラブルを起こすことが示された。 観察と平行して文献研究として心理学と保育指導の文献を検討し,乳幼児期の仲間関係の発達と保育者の援助のあり方をまとめた。 2006年4月から2007年3月まで対象者の多くが上記と同じ幼児である幼稚園4歳クラス,保育所2歳クラスと3歳クラスを観察した。その資料は分析中で今回は成果を報告できなかったが,今後,稿を改めて報告する。
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