研究課題/領域番号 |
17530472
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
三橋 美典 福井大学, 教育地域科学部, 教授 (20157556)
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研究分担者 |
熊谷 高幸 福井大学, 教育地域科学部, 教授 (10115298)
松木 健一 福井大学, 教育地域科学部, 教授 (10157282)
氏家 靖浩 福井大学, 教育地域科学部, 助教授 (10311557)
中井 昭夫 福井大学, 医学部, 助手 (50240784)
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キーワード | 学習障害 / 高機能自閉症 / 注意欠陥多動性障害 / 診断検査 / 発達検査 / 脳電位 / 脳機能イメージング / 教育支援体制 |
研究概要 |
本研究の目的は、学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、高機能広汎性発達障害(HFPDD)等の軽度学習障害児の行動的・心理的・生理的特性を検討し、総合的な判別・診断と各児の特性に応じた治療・教育指針を作成することである。 1 本年度の経過:県内の教育・医療機関に来所した軽度発達障害サスペクト児を対象に、WISC-III等の個別検査や行動観察を実施して各児の特徴把握や仮診断を行うとともに、昨年度に作成した課題検査を用いた認知・脳機能の検査を実施し、3つの障害の共通点や相違点を比較検討した。また、今後の教育支援に向けて、県内発達障害児親の会保護者を対象に実態調査を行い、支援体制のあり方を検討した。 2 主な研究成果として、以下の点が明らかとなった。 (1)従来の検査・診断基準では、幼児期言語発達からは高機能自閉症とアスペルガー障害の鑑別が困難、HFPDD児が幼少時にADHDと誤診されやすい等の問題があり、診断基準見直しの必要性が示唆された。 (2)K-ABC等の心理検査から、言語/非言語、視覚/聴覚、継次/同時処理等の認知機能のアンバランスに、3つの障害それぞれ特有の傾向が認められた。 (3)単語記憶や文章理解・比喩理解等の言語課題の遂行成績から、HFPDD児はLD児に比べて、単語記憶は正常でも、文章要約や比喩理解等の高次言語機能の問題が顕著であった。 (4)課題時に計測した脳波・事象関連電位や機能的MRIから、3つの障害とも、作動記憶に関連した脳電位や脳血流が低レベルにあり、前頭機能の障害が示唆された。 (5)親の会保護者対象の実態調査から、軽度発達障害児に対する。小・中・養護学校の教育支援は比較的良好だが、高校・大学等の高等教育や就労支援については多くの課題のあることが示唆された。
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