研究概要 |
調査:前年度実施した予備調査の結果を基に質問紙を作成し,全国の心理統計関連授業担当教員を対象に本調査を実施した.質問紙では教員が実際に行っている「授業形態」を尋ねた.学生用質問紙も同時に作成した(「力が付くと思う授業形態」を尋ねる).教員用質問紙の回答者に学生用質問紙の実施を依頼した.この結果,58名の教員1872名の学生から回答を得た.両者の結果を照合し,教員・学生間の「心理統計教育はこうあるべきだ・こうあってほしい」というギャップを明らかにした. 指導法開発:統計ソフトRを利用した教材を開発した.Rは心理学領域でも近年高い注目を集めている.本研究組織では,栗田がこのソフトを使った演習講義を実施した.その成果を踏まえ教材としてまとめ,出版した(2007年刊行予定). 評価:授業担当教員間で共有することを念頭に置いた心理統計テストの項目データベースの試作版を開発した(サーバの構成は,Mac OS Xサーバ,MySQL, Apache).本データベースの特徴として,(1)出題形式は客観式に限定,(2)内容・領域等のキーワードで検索可能,(3)難易度や識別力の指標など統計的特性値の情報による検索可能,(4)インターネット上でアクセスができる,などが挙げられる.ところで,データベースに項目特性値に関する情報を掲載する場合に,これらの指標が集団依存性を持つことが問題となりうる,この点を考える1つの材料として,実際に複数の大学で共通の項目を含むテストを実施し,集団依存性の問題を検討した. これらの研究成果の一部を日本教育心理学会第48回総会の自主シンポジウム「文系学生に対する心理統計教育のあり方」にて公表した
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