研究概要 |
平成17年度は,心理統計教育について現状把握のため予備的調査を行った.具体的には,心理統計教育に従事した経験のある方15名を対象とした質問紙調査を行った.調査内容は「担当した心理統計に関連する授業について回答を求める」ものであり,担当授業で困っている点,授業における工夫等について尋ねた,この予備的調査の結果は,第47回日本教育心理学会総会(浅井学院大学)にて発表された. 平成18年度は,(1)全国の心理統計関連授業担当教員を対象に本調査を実施した.質問紙では教員が実際に行っている「授業形態」を尋ねた.学生用質問紙も同時に作成した(「力が付くと思う授業形態」を尋ねる),教員用質問紙の回答者に学生用質問紙の実施を依頼した.この結果,58名の教員,872名の学生から回答を得た,両者の結果を照合し,教員・学生間の「心理統計教育はこうあるべきだ・こうあってほしい」というギャップを明らかにした. (2)統計ソフトRを利用した教材を開発した,本研究組織では,栗田がこのソフトを使った演習講義を実施した.その成果を踏まえ教材としてまとめ,出版した(2007年刊行予定). (3)評授業担当教員間で共有することを念頭に置いた心理統計テストの項目データベースの試作版を開発した(サーバの構成は,Mac OS Xサーバ,MySQL, Apache).データベースに項目特性値に関する情報を掲載する場合に,これらの指標が集団依存性を持つことが問題となりうる.この点を考える1つの材料として,実際に複数の大学で共通の項目を含むテストを実施し,集団依存性の問題を検討した,これらの研究成果の一部を日本教育心理学会第48回総会の自主シンポジウム「文系学生に対する心理統計教育のあり方」にて公表した
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