本研究では、乳児の愛着を行動観察による愛着Q分類法と、養育者の報告による質問紙の二つの方法で調べた。 行動観察による方法で、保育所乳児群と家庭保育乳児群の愛着を調べた結果、両者の愛着得点の平均値に差異はなかったが、愛着行動では、保育所乳児は家庭保育乳児と比べると、保育士に従順で独立している一方で、いったん泣き出すと激しく泣き、泣きを手段として用いていたことがわかった。 同一の乳児に対して、行動観察で、保育士と母親に対する愛着を比較した結果、両者に全く相関が見られなかった。その理由として、母親に安定した愛着を形成していた乳児は保育士にも安定した愛着を形成したが、母親に不安定な愛着を形成した場合でも、保育士に対しては安定した愛着を形成していたことがあげられる。 一方、同一の乳児に対して、質問紙で、保育士と母親に対する愛着を比較した結果、両者に相関がそこそこあり、愛着タイプも一致する傾向にあった。保育士と母親とで、子どもの愛着に対する見方が一致することは興味深い結果で、気質が愛着の評定に関係していたことが示唆される。
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