I、有形/無形物の所有比較による、発話帰属方略の検討 幼児(4歳〜6歳)と成人3-5人の小集団が個室で課題を行う場面をビデオ観察した。課題は、所有形態が無形の場合(会話のみ、映像視聴)と有形の場合(描画活動)を用意し、そのときの言語・非言語相互行為を比較した。 2、各種変数操作による有形/無形創作物について、創作活動と産物の関係の検討 対象者、データ収集方法、分析方法は1に準じ、変換操作を介在させた活動と産物の帰属を調べた。 3、オリジナルと変形の根拠と関係の検討 対象者、データ収集方法、分析方法は1に準じ、変換操作の変数(行為主の有無の関係など)の影響を比較し、変形の根拠をより明確にした。 18年度のまとめと17〜18年度の総括: 画像資料の非言語・言語の微視分析から、あらかじめ予想された複数の仮説の検討を行い取捨選択、修正を行い、また、平行して文献研究によって理論化を進めた。 実際の子どもたちの環境に出向き、大人への聞き取りや現場の資料によって、無形物の所有、公と私、自他、活動と活動の産物の帰属、オリジナルと変形など、さまざまな重要概念に関係する現実の具体的な慣習や課題の参照を行った。またさらにデータを意味づけるために、現在は3種のテーマの観察・課題資料の背景の文脈を把握し、研究仮説と結果の妥当性について事後的検討を行っている。目的に応じた結果のまとめと、目的自体の修正を含む理論化を行い今後の研究課題の吟味と展望を行う。
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