研究概要 |
共分散構造分析の教授法は,理論的側面と実践的側面に分けて作成された.共分散構造モデルにおいて理論面で特筆すべき進歩は,高次積率を利用した母数の推定方法である.この方法に関する教授法を整備することは,(1)パス図の相当に自由な描画による識別問題の大幅な解決,(2)調査(非統制)データからの因果矢印の示唆,など,応用研究に直ぐに利用できる魅力的な果実をもたらす.しかし高次積率の推定の性質を調べるためには,数万の標本が必要とされる.そこでPOS(ポイントオブセールス)データや,オンラインのカード使用履歴,などのデータマイニング領域のデータを入手して,解析を進めるた.データマイニングにおけるデータマートには,ほとんどの場合に時間的変数が入っている.因果パスは時間を遡ることはありえないので,時間に素直なパスを引いた場合と,時間に逆らってパスを引いた場合を比較し,前者の適合度が高いことを確認することによって,本方法が因果の方向を示唆するのに有効であるのか否かを確認した.高次積率を利用した母数の推定方法は,理論どおりに因果の方向を正しく探しだせるのかを調べ,できる場合にはその条件を調べ,できない場合には,その性質を阻害している原因は何かというテーマで研究を進めた.
|