不登校の問題は教育において重要な課題となっている。児童生徒の学校復帰のために、適応指導教室は大きな機能を有しているが、適応指導教室がうまく機能するためには、連携をどのように行うかこれまで検討されてこなかった。本研究では、指導員や中学校の教員を対象に適応指導教室の連携に関して、その実態と意識に関するアンケート調査を実施した。適応指導教室の連携として、子どもの在籍校との関係、指導員同士の関係、主管部局との関係、保護者との関係、外部機関との関係、さまざまな人・社会との関係という6つの側面から検討した。結果について、必要度、実践度、満足度について分析したが、もっとも評価が高かったのは、指導員同士の関係であった。一方、子どもの在籍校との関係は、重要な連携であるという認識はあるものの、うまく機能していないことが明らかとなった。また、指導員のモラールは非常に高く、これまでの研究に比べると、適応指導教室の運営は進んでいることが明らかとなった。これらの結果から、これからの適応指導教室の連携において必要と思われる事柄として3つ挙げられた。第1は、適応指導教室を知ってもらうことである。現状では適応指導教室の広報が少ないことが言える。第2は、指導員や学校といった子どもに関わる資源においてそれぞれの役割を明確にすることである。第3は、教室復帰につなげるのか、子どもの自立につなげるのか、適応指導教室の位置づけを明確にすることが挙げられた。
|