研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、幼児の自己主張性と仲間関係の調整の関連を検討することであった。昨年度の研究で、幼児の自己主張性と三者関係におけるコミュニケーションの違いを魚釣り遊びという実験的場面を設定して検討した。その結果、主張性高群は自分の順番を主張する待機者主導交代が多く、主張性低群は他者を配慮した援助行動が多いことが明らかになった。しかし、主張性高群が必ずしも順番の主張によってスムーズに交代を行っているとは限らないことが示された。そこで今年度は自己主張性が日常の遊び場面での仲間関係におけるコミュニケーションのあり方とどのような関連があるか、自己主張性が高い方が仲間関係の調整うまくいくのかどうかを検討することを目的とした。5歳児を対象に自己主張性と日常の相互作用パターンとの関連を検討した。まず、個別に自己主張性を測定し、自己主張高群、中群、低群に分類した。次に調査対象者の自由遊び場面を一人ずつターゲットにしてビデオ観察した。自由遊び場面での、他者への要求とその応答を中心にビデオ分析を行った。その結果、自己主張高群では、相手への要求行動が多いが、質問した場合相手からの応答性が低かった。低群では、要求行動も少なく相手からの応答性も低かった。中群では、集団に働きかけるような情報提供が多く、また、質問した際に相手からの応答性が他の群に比べて高いことが明らかになった。以上の結果から、自己主張性の高いことが仲間関係の中で必ずしもうまく機能するとは限らず、中程度の自己主張が集団を考慮し、相互のコミュニケーションを促進する可能性が示唆された。この結果を、日本教育心理学会第48回大会と大分県立芸術文化短期大学研究紀要第44巻で発表した。
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大分県立芸術文化短期大学研究紀要 第44巻
ページ: 117-127
Research Bulletin, Oita Prefectural College of Arts and Culture Vol44