研究課題/領域番号 |
17530508
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
森岡 正芳 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (60166387)
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研究分担者 |
山口 智子 日本福祉大学, 社会福祉学部, 准教授 (00335019)
本山 方子 奈良女子大学, 文学部, 准教授 (30335468)
中間 玲子 福島大学, 人間発達学類, 准教授 (80343268)
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キーワード | 臨床心理学 / ナラティヴ / フィールド調査 |
研究概要 |
これまでの研究から、ナラティヴの働きには微視的な分析を通じて把握される小さなストーリーのレベルと、面接の回を重ねる間に浮かび上がってくるライフストーリーという大きな筋立ての働きの二つのレベルがあることが示された。平成19年度の研究では、心理臨床場面で二つのレベルの相互連関をとらえ構造化することによって、発話行為におけるナラティヴの視点を明確にすることを課題とした。構造化されたナラティヴの視点を心理臨床の面接場面に導入することによって、いかなる治癒機転があらたに生成するか。セラピー特有の関係性がどのように形成され維持されるかの検討をセラピーの具体的資料をもとに分析を行った。セラピーの各セッション、および全体のプロセスのなかで、クライエントの変化や洞察につながるモメントに注目し、ナラティヴの二つのレベルとの連関をとらえた。 1 セラピーの学派のちがいを越えてナラティヴ;物語・語りという概念が用いられることの意味を、臨床心理学の方法論的な特性との関連から明確にした。 2 ナラティヴの二つのレベルを構造化することによって得られる視点が、セラピーへのナラティヴアプローチとして統合されるとき、その有効性を把握し、限界と可能性を明らかにした。 3 心理臨床の場をどのように記述し、隣接領域の研究者たちとも共有できるテクストとして提示できるかを明確にした。 以上について日本心理臨床学会第26回大会(東京国際フォーラム2007.9)の大会企画シンポジウム「関係性のアセスメント」にて発表を行った。また『ナラティヴと心理療法』(森岡正芳編金剛出版)にて成果を報告した。
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