本研究は、将来、対人援助職や教職に就くことを希望している学生を中心に志願者を募り、学生への相談援助活動を行う「ピア・サポート・スタッフ」として育成することを主眼としたもので、ビデオを用いたカウンセリング体験学習の方法に基づく新しいトレーニング方法を彼らに実施して、その効果を測定しつつ、より効果的現実的なトレーニング方法を開発することが目的である。 本年度は8名の志願者を得て、座学による講義(90分)3回と、体験学習(90分)9回、計12回のトレーニングを実施した。のべ96回中、参加は84回、参加率は87.5%。トレーニングの効果については、学生の自由記述と、学生相互の評定尺度法による援助特性の量的評価によって行った。自由記述では、「フィードバックを通じての援助技術やコミュニケーション能力の向上」、「共感の重要性への気づき」、「自己成長・自己理解や問題解決の機会」、「大切な仲間との出会い」など、学生にとって本プログラムがさまざまな面で効果を発揮していたことが明らかとなった。なお、量的評価については、現在分析中である。 またトレーニングと並行して、ピア・サポートに関する文献や資料の収集を行った。さらに、実際に活動をしている広島大学の活動の実際を見学し、同じく名古屋大学の例について担当教員、学生スタッフから情報を得た。こうした情報に基づき、平成18年度からのピア・サポート活動に関して、学生が主体的かつ適切にそのあり方を決定できるよう助言した。現段階では、学生が自治的組織として「ピア・サポート相談室」を立ち上げ、空き教室にて相談活動を行い、教員はスーパーバイザーとしてトレーニングとコンサルテーションに関わっていくという案が濃厚となっている。
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