本研究は、将来対人援助職や教職に就くことを希望している学生を中心に希望者を募り、ピア・サポート・スタッフとして育成することを主眼とするもので、ビデオを用いたカウンセリング体験学習の方法に基づく、新しいトレーニング方法を彼らに実施して、その効果を測定しつつ、より効果的現実的なトレーニング方法を開発することが目的である。 昨年度、8名のトレーニング志願者に対して実施したトレーニング内容に関し、その効果測定を行い、内容の有効性を確認したため、本年度も4名の志願者を得て、トレーニングを実施した。座学による講義3回とロールプレイ(クライエント体験を含む)7回の、計10回を実施した。結果、参加率98%という高い参加率となった。トレーニングの効果に関しては、昨年度と同様、学生相互の評定尺度法による援助特性の量的評価、および自由記述による評価をおこなった。両評価とも、昨年度と同様ポジティヴなものであった。 そして、昨年度のトレーニング受講者が、今年度は自主的に実際の相談援助活動を開始し、実際にピア・サポート活動を行った。研究者は、スーパーバイザーとして同活動に関わった。相談件数は8件、10名と少数ながら、年間を通じて高いモティベーションを維持し、また彼らなりに自らの活動をどのようにするべきか、積極的に改善努力を続けた。こうした活動を彼らが開始し持続したことは、結果的にトレーニングの有効性を物語ると思われる。彼らの元来の適性もあったのであろうが、トレーニングを通じて、グループとしても個人としても成長し、ピア・サポート活動に必要な諸特性を身につけていったと考えられる。
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