本研究は、志願学生をピア・サポート・スタッフとして育成することを主眼とし、ビデオを用いたカウンセリング体験学習の方法に基づく新トレーニング方法を開発することが目的である。過去2年間で12名の志願者に対しトレーニングを実施したが、量的評価と自由記述を通しての効果測定の結果も良好であり、また実際に彼らが開始したピア・サポート活動の観察結果から、技能面でも意欲面でも高いレベルを維持していることが確認できたため、今年度も昨年度までと同様のトレーニングを実施することとした。 今年度は2名がトレーニングに参加した。ただし実習や授業の関係で前期にトレーニングを開始することができず、夏季休暇から後期期間にかけて集中的に実施することとなった。結果、講義は昨年度比1回減の2回、ロールプレイ(クライエント体験を含む)6回の、計8回を実施し、各自がヘルパーを2回、ヘルピーを1回、それぞれ体験した。残念なことに、体調不良によって1名は2回のロールプレイ観察を欠席し、後日ビデオを見ながら筆者との個別トレーニングを実施した。また別の1名は他メンバーのロールプレイ(クライエント体験)観察を欠席した。2名のトレーニング出席率は81.3%(後日実施した個別トレーニングは除く)と、昨年度までよりも減少した。2名という少人数ゆえ観察学習の機会が少なかったこと、および授業の都合上、昼休みの時間帯を中心に活動したため、実際のトレーニング時間が減少したことによる影響を、来年度以降のサポート活動の観察を通じて把握し、本プログラムの最終的な実施時間や回数を確定することとした。 またレジデント単位でのピア・サポートを実施しているニューヨーク大学の運営担当者やトレーニングプログラム開発者、利用者と意見交換を行ったところ、本研究のトレーニングに対して高い評価を得た。
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