平成17年度は1)ハイリスク乳児の追跡、2)軽度発達障害の早期発見のための母子の心理面接方法の検討を行った。その他、3)ハイリスク児、障害児の幼児期、特別支援教育での発達支援についてのシンポジウムを行った。 1)ハイリスク乳児の追跡:ハイリスク乳児の幼児期、学齢期の発達を追跡中である。幼児期の認知機能、言語機能を解析して、精神発達が順調であっても言語機能の推論の遅れる場合があることが明らかとなった。それ以降に言語発達の伸びる時期もあることから、ハイリスク児の精神発達の見通しをつけるには学齢期以降の縦断的変化を追跡することが重要である。 2)母子面接方法の確立:ハイリスク児では、子どもの発達支援と並行した母親の育児支援が重要となる。デリケートな時期であるために、臨床的に適切な支援の場面を設定するのは難しくあまり実施できなかった。母子面接から得た、母子の関係性、象徴機能の形成、言語段階、社会性、臨床心理査定などから軽度発達障害児の乳児期の行動特性と早期発見に有用な知見を検討中である。 3)ハイリスク児、障害児の発達支援:軽度発達障害児を特別支援教育で受け入れる場合の学校側の受け入れ体制に必要な知見をまとめた。とくに乳幼児期から学齢期、それ以降の生涯発達支援のあり方を関係者に求める点で有意義であった。ハイリスク児の発達支援や心理査定を行うえで必要な発達の特徴、臨床心理場面での支援の特性についての臨床心理士、臨床発達心理士の理解を求めた。
|