研究課題
基盤研究(C)
本研究では視覚と前庭覚のクロスモーダルな2つの知覚現象を検討した。第1は視覚と前庭感覚の情報が一致しない場合の自己運動知覚である。自己運動の種類が直進運動あるいは回転運動の場合、前庭系と視覚系に反対方向の運動情報が与えられると、一方の情報に従った運動方向が知覚され、前庭系への情報が優位になるには、一定以上の加速度が必要であることが報告されている。しかし、与えられる運動情報の方向が正反対以外、例えば直交するような組み合わせに関しては明らかではない。我々は、常に加速度を伴う前庭情報と、運動方向が直交する視覚情報を同期させて観察者に呈示し、知覚される自己運動の方向を測定することで、脳はどちらかの情報を排他的に選択するのか、あるいはそれらの情報を統合して自己の運動方向を知覚するのかを検証した。さらに、自己運動の方向をより細かく変化させて、クロスモーダルな情報統合の限界を特定した。第2は、色彩に随伴した自己運動の残効である。縞パタンの方向に随伴する色彩残効はマッカロー効果として知られており、螺旋パタンの拡大・縮小運動に随伴する色彩残効もその生起が確認されている。しかし、クロスモーダルな随伴残効の存在は確認されていない。そこで、観察者の身体を前後方向に運動させると同時に前進時に赤、後退時に緑という異なる色を視覚的に継続呈示し、色彩随伴性の自己運動の残効が生起するかどうかを検証した。結果として、自己運動の方向と順応時の色彩との一貫した随伴性は認められなかったが、螺旋パタンの拡大か縮小という視覚と前庭覚のクロスモーダルな運動残効の存在は確認された。
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すべて 雑誌論文 (6件)
基礎心理学研究 Vol.28 No.2
ページ: 130-134
The Japanese Journal of Psychonomic Science Vol.28, No.2
電子情報通信学会技術研究報告 Vol.108 No.182
ページ: 47-50
Technical Report of IEICE Vol.108, No.182
電子情報通信学会技術研究報告 Vol.106 No.410
ページ: 161-164
Technical Report of IEICE Vol.106, No.410