研究概要 |
今年度は,雌ラットの性行動による条件性場所選好(CPP)に及ぼすオピエート受容体アンタゴニスト投与の効果を検討した.8週齢のLong-Evans系ラットを,性行動の条件(Non-Paced Mating : NP, Paced Mating : P)×薬物(saline : SAL, naloxone 4mg/kg : NAL)の4群(n=8)に振り分けた.CPPの装置は3連の部屋で構成され,一方の側室の壁は黒,他方は白であった.まずpre-testとして,被験体を装置内に10分間放置し,それぞれの部屋で滞在した時間を測定した.その後条件づけを24-72時間間隔で6回行った.1,3,5番目の条件づけでは,すべての被験体にSALを投与した後,pre-test時に長く滞在した(preferred側)部屋に30分間閉じこめた.2,4,6番目の条件づけでは,NALあるいはSALのいずれかを投与し,その1分後にPあるいはNP条件下で性行動を行わせた.被験体が15回のイントロミッションを受けた後,non-preferred側の部屋に30分間閉じこめた.最後の条件づけの24時間後にpre-testと同じ手続きでpreferenceテストを行った.その結果,SAL投与群では性行動の条件に関わらずCPPが成立した.またNALは性行動の条件がPの場合にCPPを阻害したが,NPでは阻害効果は見られなかった.したがって,性行動による報酬特性において,PとNPではそれぞれ関与している脳内メカニズムが異なっている可能性が示唆された.
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