1.能動的注意による体性感覚皮質活動増強作用に対する手の位置の影響の検討 2次体性感覚皮質の活動に対して計測される誘発磁場強度は、刺激をうける指に注意を向けることにより統計学的に有意に増強されていることが知られているが、手の位置によりこの増強作用が修飾される可能性があることを観察した。具体的には、刺激を受ける指の対側の2次体性感覚皮質は手の位置による影響を受けずにその皮質活動が増強するが、左半球にある同側の2次皮質は、腕を交叉することにより有意に皮脂活動が増強することを脳磁計測により明らかにした(投稿中)。 2.能動的注意生成の時間過程の解析 2次体性感覚皮質誘発磁場強度が刺激に注意を向けることにより増強する現象を観察することにより、能動的注意が生成される時間過程を描出することに成功した。体性感覚における能動的注意は300〜400ミリ秒で生成され、脳磁計測に並行して行った心理物理学的実験の結果と2次皮質におけるattentional modulationの時間過程のプロフィールが一致することを明かにした(投稿準備中) 3.視覚的注意の体性感覚皮質活動への影響(Cross-modal attentional link)の検討 固視点に対する手の相対的位置により体性感覚2次皮質の活動がどのように修飾されるかを、脳磁場解析により検討した。刺激をうける手が被験者正面の固視点にあるとき、2次皮質由来の磁場強度は最大になった。また、固視点を被験者の正面より約15度左に設定した場合に、手の位置に対する誘発磁場強度曲線が、固視点が正面にある場合に比し、左にシフトすることを発見した。このことは、視覚的注意が体性感覚的注意に何らかの空間フレームを介して影響を及ぼしたことを示唆する(投稿準備中)。今後は、このcross-made attentional link生成の時間過程を解析する。
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