長時間の自動車運転作業において、疲労・眠気による事故を防止するためには、適切な走行計画、運行管理や十分な睡眠・休息の取得が重要であるが、運転は単独でかつ自己ペースで行う作業であるため、適切な休憩取得などの走行中のドライバー自身による疲労に関する判断も安全上重要である。本研究は自動車運転作業における自身の眠気や遂行能力の認知と予測の特性を明らかにすることを目的とする。本年度は約2時間×4回の計約8時間の深夜の長時間シミュレーター作業の実験をおこなった。シミュレーターは単調な自動車専用道路が表示され、前方のトラックを80k/hで追従する操作をおこなった。実験中は水分、食事の摂取の量、時間の統制をおこなった。走行スケジュールとして、測定のための短い停車を除いてほぼ連続的に運転をおこなう条件、2時間ごとに20分の休憩を取得する条件、および20分の短い仮眠を取得する条件の3条件を設定した。各被験者は5日以上の間隔をおいて3条件すべてに参加し、実施順序はカウンターバランスした。各条件の実施前には17:30-19:00の仮眠を取得した。また、実験の終了後には8:00-14:00の昼間睡眠を取得した。自身の眠気と遂行能力に関する主観評定に加え、生理反応として脳波、眼球運動、深部体温、心電図を記録した。行動データーとしてビデオ画像と運転操作の記録をおこなった。睡眠においても、睡眠ポリグラフと睡眠関連の主観評定の記録をおこなった。3条件のデーター収集を完了し、主観評定と深部体温に関する一次分析を終了した。主観を中心としたデーターに関する検討を実施した。
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