研究課題
基盤研究(C)
米国大都市学区における教育政策形成能力の質的向上をめざす教育委員会制度の改革として、以下の2つの改革がせめぎ合っていることを明らかにした。(1)市長任命のCEO型教育長による学校ガバナンス:第一に、学校ガバナンスへの市長介入は、教育委員会を政策審議会に弱め、市長任命によるCEO型教育長中心の学校管理をめざしている。学力の向上に失敗し、教育長の在籍年数も極端に短く、大都市教育委員会制度は機能不全に陥っているというのが、介入の理由であった。しかし、この15年間ほどの市長支配による教育改革の正統性には、疑問の声があがっている。例えば、ハーバード大学教育誌の特集は、市長支配には断固反対の論陣をはっている。教育における公共性の独自性から、教育ガバナンスを一般政治に従属させることはできないとして、学区民に直接責任を負う公選制教育委員会制度を擁護している。(2)共同統治の発展と多文化教育の前進一公選校長と教職員のリーダーシップ:第二に、学校地域レベルにおける学校(リーダーシップ)委員会の「復権」と共同統治の発展が、特に中産層の多い地域では顕著であり、学校改善がすすんでいる。学校地域レベルで当事者が学校委員の選任や、校長の選考を含む学校管理に直接参加できる制度が整備されつつある。19世紀半ばの初等学校委員会やウォード学校委員会と比較した場合、その構成は全く異なっている。草創期の委員会は素人ばかりであったが、今日では、校長・教職員など教育(経営)専門職のリーダーシップに期待した共同統治機関になっている点が歴史的特質といえる。学校(リーダーシップ)委員会によるガバナンスは、第一の特徴としてあげた市長=CEO型教育長-学区教育委員会(政策審議会)によるガバナンスに従属しているというより、激しくぶつかり合っている。特に、ニューヨークとシカゴは対立が激しくなっている。
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