2年度は、「児童生徒理解に基づく発達支援カンファレンス」(<固有名>の事例に基づくもの)の職能開発効果を、同職種、多職種、多校種という三つの位相とその相乗効果という視点から、臨床教育学的に検証するための実践的調査及び国際的な情報交流を実施した。 具体的には、発達支援カンファレンスを基軸にした教育学研究者と学校教師(実践者)との相互支援システム(教職能力エンパワメント綱領)の輪郭を浮き彫りにしつつ、現職教師の発達支援カンファレンスの今日的課題や、その展開の新たな糸口を解明するための基本的な理論仮説に基づいて、カンファレンスのテキストデータの臨床教育学的コーディングを開始した。 国内の研究資料収集では、国内学会や、国際会議(北海道教育大学主催)での試行的枠組みに関する研究発表(ナラティヴ・カンファレンスの職能開発効果の研究)を行い、情報を重層的に収集した。 とくに質の高い教師教育を実施していることで有名なフィンランドのオウル大学のペンティ・ハッカライネン教授から、研究に関する貴重な情報を収集することができた。 発達支援カンファレンスとしては、第1種・発達支援カンファレンス(同職種:学校教師)を函館(檜山郡上ノ国町)で3回実施した。第2種・発達支援カンファレンス(地域・多職種総合)及び第3種・発達支援カンファレンス(地域・多校種総合)は、北海道教育大学でそれぞれ3回ずつ実施した。 このように2年度は、発達支援カンファレンス(第1種から第3種)を本格的に実施し、そのデータの分析を始めることができた。理論的には、ヴィゴツキーの情動理論や発達援助理論をベースに、効果検証の理論仮説を構築し、試行研究成果に関する内外の学会発表と研究協議を実施することができた。
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