研究概要 |
1,キャリアアップ教育については、これまで必ずしも十分大学でとりくまれてきたとは言い難い。しかし、弘前大学における「観光ビジネススクール『はやて』」の成功に見られるように、これまでの「一般教養」中心の公開講座・講演会等とは異なるキャリアアップを目指す教育機会に対して大きなニーズが存在することが証明されている。つまり、観光業を基軸として地域の活性化を図ることへの期待や、様々な職業で「ホスピタリティ能力」の向上を求める意識が強いということである。 こうしたニーズに対応した「大学開放」事業は、今日では重要なものとなっている。また、「観光ビジネススクール『はやて』」では、「住民参画型」の学習方法を取り入れ、大きな学習成果を上げており、「参画型」学習の有効性を明らかにした。 2,岩手大学では、自治体と連携して地域生涯学習推進計画の立案や計画策定を共同研究として実施している。その中で、計画策定の基礎となる地域住民の生活実態・学習ニーズを把握するために、住民に対するアンケート調査・聞き取り調査を行っている。その調査結果から、地域生涯学習を推進するに当たって、地域住民と行政の協働、社会教育職員の専門性の重視、そして、大学と自治体のと連携を図ることが、地域住民の多様な学習ニーズに応える生涯学習プログラムの企画・実施を可能とするという、具体的な事例を示した。 3,職業教育が重視されているスイスでは民間教育産業Migroや国立の職業訓練校が生涯学習の重要な位置を占めており、その中でキャリアアップ教育・一般教養型の生涯学習は地域を活性化させ個人の学習要求に応えるものとして、極めて重視されている教育システムを調査し明らかにした。
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