研究概要 |
1,岩手県および青森県の社会教育関係職員等に対するインタビュー調査をもとに、「大学開放」に関する職員研修プログラムを作成し、実際に研修会を実施した(平成19年6月、弘前市の公民館関係職員を対象)。2日にわたる研修で講義とワークショップを行い、「住民参画型」の講座を企画・実施することの重要性や考慮すべき条件などを実証的に検証することができた。 2,長崎大学における「大学開放」事業の中で、大村市と佐世保市では大学の「知」を活用した「住民参画型」の学習事業が行われていることが注目される。これまでの講座受講者が中心となって、自治体や大学関係者と連携しながら、自立的に教育プログラムを策定している。また、受講料収入と各種支出(講師謝金・旅費・広報資料作成などを含む)とのバランスがとれており、経済的にも自主的・自立的に運営されている。これらの事例は、地域生涯学習を推進し、「住民参画型」の「大学開放」事業を追求する上で、一つのモデルとして設定し得るものである。 3,ブリスベンにおけるキャリア教育の特徴は、TAFEと呼ばれる職業訓練システムが充実していることである。高校卒業者を主たる対象としているが成人の転職・キャリアアップの要望にも対応し、医療・看護・ホテル業など様々な職業領域がカバーされ、就職するための前提条件となる、基本的な労働能力の形成が図られている。多民族国家として外国人労働者を受け入れる語学コースも設定されている。また「大学開放」の事業と連動した形で大学がTAFEを実施している例もあり、さらに大学進学のコースも開設されていて、教育機関として重要な役割を果たしていることを明らかにした。
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