本年度は、研究の初年度に当たり、研究全体の構造を確定する作業から始めた。社会教育施設における参加の問題に関する先行研究の検討を進め、さらに現在の社会教育施設の置かれた状況を文献等で明らかにする作業を行い、運営に関するさまざまな事例について、社会教育施設一般・博物館・図書館に関して、特にボランティアの位置づけと指定管理者に関する諸問題に焦点化して、各種の資料を収集し、比較検討を行った。 また、アメリカ合衆国における博物館のボランティア導入の実際を調査するため、科学系博物館を中心に現地でのヒアリング調査を実施し、博物館におけるボランティアの位置・意味についての資料を収集した。 社会教育施設における、非常勤職員の位置づけについて、東京近郊の市立公民館における非常勤職員を例にして、調査票によるデータの収集を実施した。そこでは、先行研究にならい、非常勤職員がその勤務・活動によって成長するという、学習者としての側面が見られるのではないかという仮説に基づき、調査票が設計されている。回収までを年度内に行い、ヒアリングの準備作業にとりかかっている。 全国の社会教育施設におけるボランティアの導入状況についての、郵送による調査を企画し、一部実施した。この調査は、研究代表者が1998年に行った調査を基礎としており、8年間の変化を把握できるように設計されている。女性教育施設、青少年教育施設、生涯学習センターについて、国立・県立・政令市立に関してのデータを収集し、次年度に予定している、それらの市立施設、博物館・図書館・公民館に関する調査のための基礎資料を整備し、総合的な状況に努めた。 以上、研究は分節化されたパートごとに、基礎的な部分を形成してきている。
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