本年度は、研究の3年目、最終年度にあたり、基本的にこれまでの研究のまとめを行った。 この研究は、全体として、社会教育施設を核とする生涯学習施設の経営について、専門的職員による運営が望ましいか、ボランティアの力を活用した運営が望ましいか、あるいは、それらの融合形態は考えられないか、という問いに対して答えるための基礎的なデータを収集することに、その主眼が存在していた。 そのために、いくつかの調査を行ったが、まず、代表的な社会教育施設である公民館についての非常勤職員の位置に関するものが、神奈川県藤沢市の事例を取り上げて、調査を実施した。そこでは、非常勤職員が、専門職員の役割を果たすことができると同時に、学習者としても存在していることが示されたと考えられる。非常勤職員やボランティアを導入することが、必ずしも安上がり施策としてだけ位置づけられるのではなく、積極的な学習活動支援策とも考えられることが示唆された。 次に、アメリカにおける博物館のボランティアの実態についての調査では、アメリカにおいては、ボランティアは博物館運営には必要不可の存在として位置付いており、日本における博物館の利用者サービスの一環とは、根本的に異なることが明らかにされている。 さらに、1998年に行った調査との比較のための社会教育施設(女性施設・青少年教育施設・博物館・図書館・生涯学習センター)におけるボランティア活動の郵送調査では、この間の変化について、特に博物館におけるボランティア導入が多くなっていることが判明している。 このように、本研究においては、各種の調査を実施し、意味あるデータを収集し、様々な示唆を得ることができた。
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