研究概要 |
本研究は,実践的指導力を備えた教員を育成する教員養成プログラムを開発する際の指針となる「プロフェッショナル・ティーチング・スタンダード」を開発し実用化することを目的としている。4年めである本年度は,次の研究を実施した。 1.教育委員会はどのような資質能力を身につけた教員を求めているのかを明らかにするために,教員採用試験募集要項を分析し,採用側が考えている望ましい教師像を抽出した。例えば,長野県では,(1)子どもが好きで,教育への情熱と心身のたくましさを持っている人,(2)豊かな人間性と広い視野を持ち,子どもの前で正直になれる人,(3)幅広い教養と教科の専門的な知識・技術を持ち,常に向上しようとする人,(4)創造性,積極性及び行動力を持っている人,(5)同僚や保護者などと協力し,共に汗を流す意欲のある人,の5点を募集要項で「求める教師像」として提示している。これらは,中央教育審議会答申「今後の教員養成・免許制度の在り方について」において教職実践演習(仮称)や免許更新講習で含めるべき事項である,(1)使命感や責任感,教育的愛情等,(2)社会性や対人関係能力,(3)幼児児童生徒理解や学級経営等,(4)教科・保育内容等の指導力,と関連している一方,教員養成段階だけでは十分に身につけることが難しい観点も含まれていることがわかった。 2.本研究課題に関連して,次の研究発表等を行った。(1)土井進・谷塚光典「教員養成初期段階を中心とした教員スタンダードの開発-信州大学教育学部における臨床経験科目の体系化を目指して-」日本教師教育学会,(2)谷塚光典・東原義訓「テキストマイニングによるティーチングポートフォリオ分析の試み-教員養成初期段階の学生のリフレクションの特質-」日本教育工学会,(3)土井進「「総合演習」(米づくりと食育)における「信大茂菅ふるさと農場」の教材学的意義」日本教材学会,等。
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