本研究は、中国の公立学校の民営化を対象として、学校設置における企業等の参入と公立学校の企業等への民間委託の実態を考察することを目的としている。3カ年を予定する本研究の初年度(本年度)は、主に以下の点を明らかとした。 1.中央の教育政策としての「公立学校の民営化」は、市場経済化の中で国家教育財政支出の削減を求める意図があった。 2.地方の教育政策としての「公立学校の民営化」は、上記(1)による財政負担の外圧と都市と農村における地域経済格差の内圧の中で、多様な方法を展開した。 3.その結果、地方の実態においては、公立学校による民営学校設置、公立学校の民営学校化、学校株式会社の設立、教育バウチャー制度の導入など、多様な民営化の傾向が見られた。 本年度は、主に「公立学校の民営化」に関する分析枠組みを構想することと中国国内の先行研究をレビューすることを行った。次年度以降、中国国内の政策調査と事例校調査を行う予定である。
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