本研究は、近年中国でみられる学校の民営化の現象を対象として、中国の教育改革及び学校改革の特性や問題点を考察することを目的とした。大きくは、教育の市場化政策の方法としての学校の民営化の実態を検証した。 学校の民営化の実態については、学校の民営化を大きく学校設置主体の多様化と公立学校の民間委託と捉え、その特性を示す以下の学校類型について事例的考察を行った。 1 企業による学校設置(「学校設置会社立学校」) このケースは典型的な学校の民営化のケースである。多くの中国の企業は特に大都市である上海市や北京市で学校を設置している。これらの学校は比較的に安定し、発展している。 2 人民による学校設置(「打工子弟学校」) このケースは特殊であり、やはり上海市や北京市などの大都市にみることができる。しかし、これらの学校は企業設置の学校と異なり弱体であり、発展性がなく不安的である。 3 公立学校による(私立)学校設置(「校中校」) このタイプの学校は「学校」が「学校」を設置運営するという面でアブノーマルであり、二校の間で校長と教師集団が同一であるという特殊性がある。 以上を通じて、中国の教育の市場化の特質と学校の民営化の構造を明らかにした。
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