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2005 年度 実績報告書

世界市民性と教育哲学の再構築:デューイ、カベルの民主主義批判哲学からのアプローチ

研究課題

研究課題/領域番号 17530565
研究機関京都大学

研究代表者

齋藤 直子  京都大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (20334253)

キーワード世界市民性 / 教育哲学 / デューイ / カベル / 生き方としての民主主義 / プラグマティズム / 包摂なき市民性 / 日英米異文化間の対話的哲学交
研究概要

本研究は、世界市民性の教育の原理・実践・言語を批判的に再検討・再構築し、それと同時に教育哲学のパラダイムを再構築することを目的とする。そのための思想的アプローチとして、アメリカの哲学者、デューイとカベルの民主主義批判哲学の現代的意義を考察する。特に彼らの思想をもとに、今日支配的なアメリカ民主主義の思考とディスコースを内側から批判的に再検討するための「全体性への包摂なき市民性」の視座と言語を解明し、これが「大人のための教育の哲学」を行なう大学教育において持つ意義を明らかにすることを目指す。さらに、カベルの哲学、言語哲学に造詣の深い、海外研究協力者ポール・スタンディッシュ(シェフィールド大学)の力を借りつつ、日英米を中心とした教育哲学者の異文化間対話の国際的ネッテーワークを促進することを目指す。
この主旨に即し、平成17年度は以下の実績を達成した。
1.6月、ハワイ大学で開催された哲学者会議において、カベルの哲学が世界市民性の教育に持つ意義を論じた論文を、海外協力研究者スタンディッシュ教授、およびハワイ大学哲学部(比較哲学)スティーブ・オーディン教授と共同企画したパネルで発表した。
2. 7月、アメリカ哲学促進学会主催のサマーセミナー(オレゴン大学)にて合計6時間の講義に招聰され、デューイ、エマソン、ソロー、カベルのアメリカ哲学とその現代的意義について講義、ディスカッションを行なった。多くの貴重なプラグマティズム、アメリカ哲学研究者とのネットワークを築いた。また、この講義を評価され、平成18年度にオレゴン大学哲学部で開催される、エマソン、ソロー、カベルの研究を最前線で行なう研究者の会議に招聘、論文発表が決定し、さらなる研究促進の道が開けた。
3.10月、カベルの著作Senses of Waldenの邦訳『センス・オブ・ウォールデン』(齋藤直子訳・法政大学出版局)出版。日本では初のカベルの著作の邦訳である。この出版記念に、スタンディッシュ教授、オーディン教授、およびリーハイ大学哲学部教授、ゴードン・バーン教授らと国際会議「スタンリー・カベルと大人の教育としての哲学」開催し密度の多い議論を行なった。ここでの対話をもとに、Walden in Tokyoという英語の共著の出版計画がまとまった。
4.平成18年3月、アメリカ哲学促進学会において、審査受理論文"Perfectionism and the Love of Humanity : Democracy as a Way of Life after Dewey, Thoreau and Cavell"(「完成主義と人類愛:デューイ、ソロー、カベルに続く生き方としての民主主義」)を発表し、活発な質疑応答が行なわれ、貴重なフィードバックを得た。これを論文として投稿することを計画することになった。この論文は、本課題研究の本年度の成果をまとめたものでもある。さらにこの学会で、カベル、エマソン、ソロー、デューイの思想の専門家とのネットワークがさらに形成された。日本のみならずアジアの研究者では私が唯一の参加者であり、日英米の領域でプラグマティズムとアメリカ哲学、世界市民性の教育のための哲学のための対話を促進する必要性が明らかになった。
5.海外研究協力者スタンディッシュ氏との共同研究が促進された。単著Beyond the Self : Wittgenstein, Heidegger and the limits of languageの邦訳書『自己を超えて』(法政大学出版局出版予定)の翻訳プロジェクト、および、同氏との英語での共著、Democracy and Education from Dewey to Cavellの企画が進行した。
6.上記の諸実績が認められ、国際プラグマティズム学会創設委員/編集委員に選出された。
7.単著、The Gleam of Light : Moral Perfectionism and Education in Dewey and Emerson (New York : Fordham University Press,2005)出版。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2006 2005

すべて 雑誌論文 (3件) 図書 (4件)

  • [雑誌論文] Reawakening Global Awareness : Deweyan religious democracy reconsidered in the age of globalization2006

    • 著者名/発表者名
      Naoko Saito
    • 雑誌名

      Studies in Philosophy and Education 未定

  • [雑誌論文] 父の言語のフェミニズム:スタンリー・カベルと解釈の政治学2005

    • 著者名/発表者名
      齋藤直子
    • 雑誌名

      現代思想 33巻・10号

      ページ: 108-120

  • [雑誌論文] 進行し続けるイメージ形成:デューイ、カベル、経験としてのアート2005

    • 著者名/発表者名
      齋藤直子
    • 雑誌名

      現代思想 33巻・8号

      ページ: 176-195

  • [図書] Growth and Perfectionism? : Dewey after Emerson and Cavell(John Dewey and Our Educational Project : A Critical Engagement with Democracy and Education) (ed.David Hansen)2006

    • 著者名/発表者名
      Naoko Saito(編著の一章)
    • 出版者
      State University ofo New York press(USA)(印刷中)
  • [図書] 教育としての哲学・哲学としての教育:スタンリー・カベルの『センス・オブ・ウォールデン』を読む/いま、哲学とは(小林康夫編)2006

    • 著者名/発表者名
      齋藤 直子(編著の一章)
    • 出版者
      未来社(未定)(印刷中)
  • [図書] The Gleam of Light : Moral Perfectionism and Education in Dewey and Emerson (単著)2005

    • 著者名/発表者名
      Naoko Saito (単著)
    • 総ページ数
      210
    • 出版者
      Fordham University Press (USA)
  • [図書] センス・オブ・ウォールデン(邦訳)2005

    • 著者名/発表者名
      スタンリー・カベル, 齋藤 直子訳(邦訳書)
    • 総ページ数
      244
    • 出版者
      法政大学出版局

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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