1.本年度は本研究の最終年度として、改革実態の最新情報の確認を主眼とした以下の調査研究を、3回の現地調査によって実施した。 (1)タイ教員審議会事務局局長等関係者への面談調査による教育関係職員免許の交付過程及び免許更新制度に関する実態把握と分析(2007年6月及び8月・現地調査) (2)事例5大学の教育学部長等関係者への面談調査による5年教員養成課程の教育課程の実施状況の分析及び改訂教育課程資料の収集・分析(2007年8月・現地調査) (3)5年教員養成課程の授業参観と学生への面談調査による「教育専門職基準」の適応実態の把握及び分析(2007年8月・現地調査) (4)タイ側の研究協力者3氏との面談による教員養成制度改革の評価と課題に関する意見聴取(2007年11月・現地調査) 2.上記の調査により得られた知見として、以下の諸点を提示できる。 (1)「教員審議会法」制定から「移行措置期間」とされた4年後の2007年6月までに、現職教員への免許交付が完了し、免許制度が取り敢えず軌道に乗ったと評価できる。 (2)5年課程教員養成の教育課程基準が教員審議会の「教育専門職基準」のみであり、4年を経る中で教員養成大学が教育課程を多様化しつつあり、その質的保証措置が必要となりつつある。 (3)地方における教員養成大学教育学部の志願者が減少しており、「5年課程」を必要とする教員養成が教員の待遇や社会的地位との関係から吸引力を維持することが困難となりつつあり、その手当てが必要とされる。
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