研究課題/領域番号 |
17530570
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研究機関 | 神戸女子大学 |
研究代表者 |
宮本 健市郎 神戸女子大学, 文学部, 教授 (50229887)
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研究分担者 |
山崎 洋子 武庫川女子大学, 文学部, 教授 (40311823)
山名 淳 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (80240050)
渡辺 隆信 兵庫教育大学, 大学院・学校教育研究科, 准教授 (30294268)
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キーワード | 時間割 / アメリカ:イギリス:ドイツ:日本 / ドルトン・プラン / 田園教育舎 / 進歩主義教育 / 新教育 / オーデンヴァルト校 / 大正新教育 |
研究概要 |
19世紀末から20世紀初頭にかけての新教育運動のなかで、柔軟な授業時間割が各国で出現していたことを確認した。日本では明治中期に、45分授業と15分休憩という形式が一般的になっていたが、大噺教育期から昭和戦前期にかけては、その形式に対する批判が強まっていた。改革の方向としては、ひとつには、子どもの自由な活動や生活のリズムを重視するために、従来の機械的な区分をなくすこと、もうひとつには、教科ごとの区分に変えて、学業・運動・作業など、活動の種類ごとの区分にしようとする方法があった。米国では、授業時間の詳細な区切りは19世紀の後半に一般的になったが、20世紀初頭の進歩主義の学校では、柔軟な時間割が採用されるようになった。子どもは大きな時間の区切りめなかで、自由にさまざまな活動ができるようになったのである。英国でも、19世紀末には複雑で厳密な時間割が普及したものの、20世紀たなると子どもの自由な活動を保障するために時間割を弾力化した学校が出現していた。ドイツにおいても、田園教育舎の時間割を見るならば、子どものリズムや学習の継続性に対する配慮をすること、教師や生徒が時間割を編成する自由裁量の余地が広がったこと、教科内容だけでなく、活動形態が時間を区分する基準になったこと、などを確認することができた。 20世紀初頭の各国における時間割編成原理を比較してみると、いくつかの共通する傾向を認めることができる。ひとつには、19世紀後半に、時計によって測定される時間に基づいた時間割が普及し、定式化した時間割が出現し、子どもには時間厳守が教え込まれたことである。次に、新教育の広がりとともに、子どもの生活やリズムを重視するために、時間割を柔軟にしようとする動きが生じたことであった。そして、柔軟な時間割を、実際に子どもにとって意義あるものとするためには教師の専門性または自律性の必要性が確認されたことであった。
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