平成17年度の研究実績は以下の通りである。 1.近世の女児教育に関する辞典項目11項目の執筆。項目内容は「女師匠」「『女実語教』」「『女商売往来』」「琴」「しつけ」「松声堂」「田村梶子」「手習い」「寺子屋」「女筆指南」「吉田いと」である。菅野則子外編『日本女性史辞典』(発刊予定)[吉川弘文館]に掲載予定。 2.全国地方教育史学会大会(平成17年5月22日於福島大学)にて研究発表。テーマは「幕末期、伊賀国城下町寺子屋の実態史研究-名張郡名張本町、中村家『栄寿堂』を事例として-」である。名張本町の中村家に所蔵された寺子屋門人帳三冊をもとに、手習い実態、束脩と謝儀、寺子屋師匠と乱舞師匠を兼ねた師匠中村権平について考察した。 3.「書評と紹介」を執筆した。取り上げた書物は丹和浩著『近世庶民教育と出版文化-「往来物」制作の背景-』である。『日本歴史』(吉川弘文館発刊)2006年6月号掲載予定。 4.「日本教育史研究会」創設の頃について執筆。創設期の日本教育史研究会の世話人の一人として創設期の歴史状況について「私の学校であり、研究上の師匠であった『日本教育史研究会』」をテーマに執筆した。日本教育史研究会編「日本教育史往来」158号(2005年10月31日発刊)に掲載された。pp.12-14 5.研究誌の発刊。毎年1回定期的に刊行している奈良教育大学梅村研究室年報である『奈良教育史研究』11号を発刊。同誌に筆者の論文「近世後期、子ども(男児)の学びと奉公と生活史(その1)-伊勢国寺子屋『壽硯堂』の200人の事例をもとにして-」を執筆。 伊勢国寺子屋「壽硯堂」の門人帳を中心に、女児のライフサイクルを検討した昨年度の科学研究費による研究論文に続いて、今年度の科学研究費による調査・研究により、男児200人を取り上げて「学びと奉公と生活」を中心にライフサイクルを検討した(その1)。続いて(その2)として残る300人弱の男児のライフサイクル検討を今後の課題とした。『奈良教育史研究』編集部編『奈良教育史研究』11号拙稿掲載箇所pp.1-49
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