研究概要 |
1.「市民的教養」概念の検討:社会教育法でいう「実際生活に即する文化的教養」概念と従来の「教養」との相違を明らかにすると共に、現代日本の社会教育、生涯学習における市民的教養教育の実態を把握し、市民的教養教育とはいわゆるシチズンシップの教育であり、共同体の一員である市民性を追求する教育であることを確認した。 2.基本的枠組みの確認:ブラメルドに依拠して、市民的教養の方向や特色を分類する指標として改造主義、自由主義、本質主義、永生主義といった教育哲学の四類型を確認した。 3.藤村好美、小池源吾に、研究協力者として三浦嘉久、佐々木保孝、志々田まなみ、天野かおりを加え、Harold W.Stubblefield & Patrick Keane, Adult Education in the American Experienceの翻訳作業を完成した。これは、アメリカ成人教育の通史を概観する上で、重要な文献である。 4.アメリカにおける「教養」概念の変遷を追求する一連の作業として、研究協力者を含め、以下のテーマで学会報告を行った。 (1)藤村好美「ハイランダー・フォークスクールに見る変容的学習の分析-その方法論への着目-」(日本教育学会第64回研究大会、東京学芸大学、2005年8月26日) (2)藤村好美「成人教育における実践と研究の統合-ハイランダーの実践に見る参与研究の可能性-」(日本社会教育学会第52回研究大会、千葉大学、2005年9月17日) (3)志々田まなみ「アメリカ成人教育運動における『市民性』をめぐる論争」(日本社会教育学会第52回研究大会、千葉大学、2005年9月17日) (4)佐々木保孝「革新主義期の農村における大学成人教育」(アメリカ教育学会第17回大会、上智大学、2005年9月24日) 5.藤村好美がアメリカ成人教育の現地調査及び資料・情報の収集を行った。 6.アメリカ成人教育史における市民的教養教育の分析に基づき、中間報告書を作成した。
|