1 市民的教養との関連で、教養概念の再構築を図るべく、藤村好美が、知識、人格、政治的教養の三つの側面から、教養の意味と背景を問い直した。これは、わが国における教養論議が、概して読書人の教養と人格の側面に偏る傾向であることを問い直し、時代に即した市民的教養概念を明らかにするという点で、意義がある。 2 19世紀アメリカの市民的教養観をさぐるべく、小池源吾が、19世紀アメリカの大学拡張論を分析し、当時のアメリカの市民教育論の抽出を試みた。これは、現代アメリカの市民的教養観との相違を考察する上で必要な検討課題である。 3 藤村好美、小池源吾に、研究協力者として志々田まなみ、佐々木保孝、天野かおり、長岡絵里佳の4名を加え、「市民教育」、「シチズンシップ」、「市民的教養」の視点から、アメリカ成人教育史の多角的な分析を試みた。これは、市民的教養概念を社会史的に理解する上で、意義がある。 4 現代アメリカ行政における市民的教養概念とシチズンシップ教育についての情報収集のため、藤村好美が、東京の米国大使館レファレンス資料室及び福岡アメリカンセンターレファレンス資料室を訪れた。 5 以上の実践の総括として、最終報告書を刊行した。
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