平成18年度は、(1)試行的バイリンガルカリキュラムの実施、評価と修正、(2)ブラジルにおけるバイリンガル学校の調査、(3)自主教材の開発と作成、(4)バイリンガルカリキュラムの展開、の4つを計画した。(1)については、研究協力校において平成18年9月より準備、平成19年1月より試行を始め、同年3月までにバイリンガル教育および日本語教育担当者による研究討議を行い、評価・修正の上、3月末より本格的に展開している。「日本語・バイリンガル」という教科の枠組みで幼稚園児から小学2年生までは週2時間、小学3年生以上に週4時間提供している。幼稚園児から小学2年までは週2時間では、主として日本語および日本語によるコミュニケーションに慣れ親しみ、バイリンガルとなる基礎的能力を自然習得することを援助する。小学3年生以上の4時間は、日本語とポルトガル語のバイリンガルになることを意識づける「バイリンガル」1時間、母語(ポルトガル語)での教科学習の内容を日本語に転移させる「教科学習」2時間、読み書きの学習を中心とした「綴り方」1時間を配分している。(2)については、平成18年10月にブラジル・サンパウロ市内のポルトガル語-英語のバイリンガルの学校を2校、ポルトガル語-日本語を1校訪れ、そのカリキュラムの特徴について調査し、抱える課題についても把握したうえで、カリキュラム開発に反映させた。 (3)については、教員会議で議論された年間のカリキュラム生成テーマを「日本語・バイリンガル」担当で引き取った上で、年間の授業計画を立て、それにしたがって進められる授業と同時進行で教材開発に取り組んでいる。 研究協力校がNPO運営による学校のため、カリキュラムの実施には困難な点もあるが、現在、開発されたカリキュラムが全面的に実施されており、平成19年度は、具体的な児童・生徒の日本語力評価と、全体的な評価を行う予定である。
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