近年、戦後の教育システムが根本的に問い直されてきた。とくに2001年の中央省庁等改革以降、学校教育を民間にゆだねる方向での改革提言が、内閣府に設置された総合規制改革会議とその後身の規制改革・民間開放推進会議等により行われている。本研究は、現在の教育における公と私の役割分担の見直し論の検討に資するために、教育改革時における教育の公と私に関わる事項について、CIE、文部省、日本側関係団体等のダイナミズムをふまえて解明しようとするものである。CIE Records所収の諸資料、その他の米国側資料中の関連文書、国立公文書館所蔵の『教育刷新委員会総会配付資料』を収集・整理・分析した。 現代日本における教育への公的関与と民間機関の関与に関する図書・論文を収集した。また、学校法人制度について、旧民法上の財団法人、特定非営利活動法人その他の法人との異同を知るために、法人制度に関する図書・文献を検討した。また、最近の法人制度改革について検討した。 そして占領下における私立学校教員の人事制度について、教育公務員特例法の前身である「教員身分法案」における構想を解明した。「教員身分法案」の構想を日米文書の検討によって明らかにし、それが教育公務員特例法に転換する過程とそこにおける問題を解明した。また、近年の規制改革の動向を検討し、とくに、私立学校の参入拡大策、株式会社やNPOによる学校の設置運営の解禁、バウチャー制度などをめぐる改革動向について検討した。
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