研究課題
台湾の教師教育改革は、すでに、これまでに進められてきた改革の見直し段階に入っているといってよい。1.教員養成においては、開放制の導入以降、大幅な供給過剰となり、少子化も加わって、新規の教員採用がほとんどない状況に立ち至り、社会問題化している。そのような中、教員養成系大学では、小学校課程においては定員の大幅削減・中等学校課程においては、評価結果による削減等が行われ、一般大学では、教職課程の廃止、改組などが行われている。また、教育実習においては、期間が1年から半年に短縮される一方で、大学の責任がより明確化され、さらに、2005年4月から教育実習終了後に実施されている教員資格検定試験も厳格化された。2.教員採用においては、学校ごとに「教師評審委員会」を設置し、採用するという新方式も、行政当局による統一試験で採用するという従来型の方式に回帰し始めている。公開性、公平性、公正性という観点から導入された魅力的な採用方式ではあったが、現実には、それを担う採用主体の力量が伴っていなければうまく機能しないことを物語る実例である。また、行政当局は、採用数を増やすための方策として、学級定員の削減を検討しているが、そのための財源の確保が問題となっている。3.教員研修においては、「教師終身進修制度」の確立に向けた施策が精力的に展開されている。台湾の教員研修は、大学院を活用した研修が特徴的であるが、特に、各大学に設置されている「進修部」もしくは「進修・推廣部」といった組織における社会人を対象とした大学院修士課程は、現職教員の研修の場として活況を呈している。多くの現職教員を集めている最大の理由は昇給、昇任の利益である。もちろん費用は自己負担が原則である。さらに、小中高のすべての教員が、年間1単位〔18時間〕の研修を義務付けられている台湾では、研修の申し込み、登録等を、教員個々人が電子研修パスポートを用いて、インターネット上で行うといったIT化が進められている。
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台湾與日本教育研究発展論壇(台東大学, 台東県政府教育局編)
ページ: 21-24
日本教育史研究(日本教育史研究会編) 第25号
ページ: 227-231