平成17年度は各都道府県立および国立国会図書館に所蔵されている実業学校関係の歴史的資料の収集と古書類で明治から大正末までの実業学校関係の『学校一覧』および『同窓会誌』の収集に努めた。その結果、現在までに30数校の『学校一覧』の資料および複写を集めることができた。 また植民地関係当時の実業学校関係資料の調査の対象として中国、および台湾が上げられるが、今年度は中国国家図書館に調査を実行したが、中国では国家図書館および北京大学のいずれにも資料は廃棄処分されていた。台湾関係は現地(台北中央図書館や台南大学)に資料が残存していることが判明している。また国内にも台湾の実業学校関係資料があり、そのいくつかについては複写をおこなうことができた。 実業学校の分野では今年度重点的に農業学校関係の資料に基づき福島蚕業学校、熊谷農学校の明治から大正期にわたるデータ入力を一応終了している。 また専門学校については代表的な専門学校について東京高等商業、東京高等工業学校、山口高等商業、大阪高等工業学校、鹿児島高等農林学校についての『学校一覧』および『校友会誌』についてある程度卒業者の経年的変化が追跡できる資料を入手している。この専門学校卒業者のデータ入力については来年度の課題となっている。 工業関係では明治から大正期にかけての職工採用に関する諸資料の収集は行った。この点についても分析は来年度の課題である。 実業学校卒業者の職業経歴を追う中で、その副産物として明治末から、帝国大学に進学した者の存在が明らかになり、この点については雑誌『日本教育史研究』25号に論文を投稿した。 以上が本年度の研究実績であります。
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