昨年度に引き続き、沖縄県那覇市立壷屋小学校の前身である壷屋初等学校1947年学校日誌を解読し、当時の関係者からの聞き取り調査をもとに、解題と詳細な解説を付した復刻版の編集を行った。その成果は、沖縄大学地域研究所叢書第8巻として平成18年12月に発行した。 1947年度の壷屋初等学校日誌には、前年度の日誌にみられるような学校設立時の混乱した様子や「何もない」状況がいくぶん改善されてきている様子を感じることができる。しかし、それでも校舎のほとんどは台風が来れば吹き飛んでしまうようなものでしかなく、教材どころか教科書すら満足に揃っていない状況で、教師達が薄給にもかかわらずいかに努力しているかを理解することができる。 「本土」では1946年3月31日に「教育基本法」「学校教育法」が公布され、1947年4月1日からいわゆる「6・3制」が施行されている。また、当用漢字・現代仮名遣い適用の教科書が使用され、5月には日本国憲法が施行された年でもある。 一方、沖縄では前年度(1946年度)に公布された「初等学校令」「初等学校施行規則」により「8・4制」が続いていたが翌年(1948年)4月1日には「教育基本法」「学校教育法」が制定公布されている。 1947年度は最後の8・4制となり、6・3・3制にむけての準備等のようすを日誌などから読み取ることができる。 終戦から1952年まで約7年間の学校教育については資料が極端に乏しく、これら学校日誌は当時の学校現場の様子を知るだけでなく、間接的にではあるが、生徒たちの状況も知ることができる史料としての価値は高いと思われる。
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