沖縄県那覇市立壷屋小学校の前身である壺屋初等学校の1947年学校日誌を解読した。当時の教育制度・行政の変遷と対応させつつ、初等教育現場において具体的な実践活動を分析。当時の関係者からの聞き取り調査をもとに、解題と詳細な解説を付した復刻版の編集を行い、沖縄大学地域研究所叢書第8巻として平成18年12月に発行した。 これらは、6・3・3制以前の沖縄戦直後の初等学校の現場で行われていた学校教育を具体的な内容を示す貴重な資料である。 例えば、初等学校高学年生が授業時間に校舎建設や運動場の整備に駆り出される頻度や教科書がどの程度学校現場に行き届いていたか、教師の給与やそれに代る物品の配布などの実態が日誌の中から明らかになっていく。 一九四七年度の壺屋初等学校日誌には、前年度の日誌にみられるような学校設立時の混乱した様子や「何もない」状況がいくぶん改善されてきている様子を感じることができる。しかし、それでも校舎のほとんどは台風が来れば吹き飛んでしまうようなものでしかなく、教材どころか教科書すら満足に揃っていない状況で、教師達が薄給にもかかわらずいかに努力しているかを理解することができる。
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