1.平和形成方法の教育の歴史的分析 国内外における平和形成方法の教育の歴史的変遷を、平和教育や平和構築などの近接関連諸領域の文献資料を収集・分析して、平和形成方法の教育論の史的展開を考察した。特に、国による教育課程と平和題材の取り扱いとの関連をみるために、戦後の学習指導要領において、平和に関してどのように扱うかの記述を分析し、その展開を明らかにした。 2.平和形成方法の教育の理論的考察 神奈川、京都、広島、沖縄にある各平和博物館の展示は、戦争題材のみでなく、戦後社会における平和形成に関する内容についても展示しており、積極的平和に向けた各種の試みを紹介している。そうした平和形成方法の教育を進める平和博物館と、民間教育団体の職員に対してインタビュー調査を行い、平和形成方法の教育の現状と課題を考察した。開発教育や国際理解教育の教育内容や教育方法を共有しながら、平和形成方法の教育の内容と方法を今後改善させる必要性が示唆された。 3.平和形成方法の教育の実態分析 平成18年2月・3月に中学2年生に対して平和形成方法に関する意識調査を行い、東京・京都・広島・沖縄にある18中学校から1512名の回答を得た。調査結果の分析によれば、世界が平和でないと思うのが86%で、日本が平和でないと思うのが57%である。社会が平和であるために何かしたいと述べる回答が71%あり、その平和貢献希望者の内で60%はわからないけど何かしたいと答えている。平和社会をつくる方法を学校で学びたいと述べる回答生徒が65%あり、平和形成方法の教育への、中学生回答者の要望が高いことが明らかとなった。
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