研究課題
基盤研究(C)
日本における高等教育の質(水準)は、伝統的に政府(文部科学省)による設置認可方式(チャーターリング)により担保されてきた歴史をもつが、近年における規制緩和(事前規制から事後チェック)政策の中で、認証評価機関(大学基準協会、大学評価・学位授与機構、日本高等教育評価機構等)による質保証、すなわち「認証評価制度」(一種の適格認定=アクレディテーション)が2004年度からスタートしている。一方韓国は、高等教育のマス化を迎えた四半世紀も前(1982年)に、大学教育の質保証装置としての大学評価システムが韓国大学教育協議会により開発され、いわゆる「適格認定」(アクレディテーション)モデルによる「大学総合評価認定制」(7年周期、その後5年周期)が軌道に乗り、2007年度を期して第3周期に入っている。学問分野別評価においては、世界水準の大学作りを意識した評価モデル(評価結果を財政支援にリンクさせるランキング表示方式)を開発し、実施に移している。高等教育のマス化過程は、当初(1960年代)は日本が先行し韓国がそれに続く形であったが、マス化に対応する高等教育の質保証政策においては韓国の方が積極的に対応し、今日に至っている。そして現在では、両国とも高等教育はユニバーサル段階に入っており、「万人のための高等教育」の質保証のあり方が問われている。しかも日韓両国の高等教育の質保証は、ユネスコやOECD(経済協力開発機構)等により開発されつつある国際的質保証基準の枠組みの中で、相対化され検証されようとしている。以上のような背景を前提に、本研究では、韓国の「一元的評価」と日本の「多元的評価」とを対比させながら、その功罪と今後のあり方について考察を加えた。
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