1980年代の臨教審以降、後期中等教育段階の高等学校の改革が進んでいる。本研究では、まず、近年の高校教育の改革の特徴を文献に基づき明らかにし、高校教育の改革を本研究で明らかにするための研究デザインを描く作業から始めた。この研究デザインを、「高校教育の改革を考えるために」(『教職教育研究-教職教育研究センター紀要』、関西学院大学教職教育研究センター、第11号、2006年3月、1〜5頁)に、小論としてまとめた。 ついで、この研究デザインに依拠しながら、今年度は、新制高等学校の発足以来、普通学科と専門学科の2学科で運営されてきた学科を改革し、第3の学科として創設された総合学科に焦点を合わせて、研究を進めてきている。 その1つは、「総合学科高校生の生活と学習についての調査」を、兵庫県内の4つの総合学科を持つ高等学校で、実施した。調査の内容は、総合学科高校生の家庭での生活と学習、高校での授業への取組の状況(とくに、中学校の時の授業との比較で)、総合学科の教育課程の特徴である「選択科目」及び「産業社会と人間」に対する受講意識と満足度、将来の進路意識、高校での生活意識・学習意識、総合学科に対する評価、職業意識・職業観等で構成している。現在、この調査の集計・統計的分析の作業を進めている。 もう1つは、「総合学科に関する調査」を、平成17年度現在で、総合学科を設置している全国の公立高等学校240校(都道府県・市立)の学校長を対象に郵送法で調査を実施した。調査の内容は、勤務する高校の学科構成等、総合学科の特徴をなす「産業社会と人間」の授業の運営、選択科目の設定の意義や方法、「総合学習」の実施状況、総合学科における進路指導の特徴、総合学科設置による諸影響の評価等で構成している。現在、この調査にかかわる作業を進めている。 以上の2つの調査結果に基づき、総合学科の特徴と問題点を、高校改革という視点から検討し、高等学校の改革の進展の状況を明らかにしていくことにしている。
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