1980年代の臨教審以降、後期中等教育段階の高等学校の改革が進んでいる。本研究では、まず、近年の高校教育の改革の特徴を文献に基づき明らかにし、高校教育の改革を本研究で明らかにするための研究デザインを描く作業から始めた。 平成18年度は、この研究デザインに依拠しながら、新制高等学校の発足以来、普通学科と専門学科の2学科で運営されてきた学科を改革し、第3の学科として創設された総合学科に焦点を合わせて、研究を進めた。総合学科を設置している全国の公立高等学校240校の学校長を対象とした調査の分析を進めた。調査の結果について、平成18年9月22〜23日に開催された日本教育社会学会第58回大会(大阪教育大学)で「高校教育改革と総合学科」と題して学会発表をした。また、「総合学科における教育の現状と課題-高校長を対象とした調査結果から-」(『教職教育研究-関西学院大学教職教育研究センター紀要』、第12号、2007年3月、1〜24頁)に論文としてまとめた。 さらに、高校教育の改革を、普通科に焦点を絞り、普通科の改革の現状と課題を明らかにしようとし、普通科を設置している全国の公立高等学校1600校(都道府県・市立)の学校長を対象に郵送法で調査を実施した。調査の内容は、勤務する高校での改革への最近の取り組み、改革の現状、改革の成果、及び改革を成功に導く条件等で構成している。現在、この調査にかかわる作業を進めている。 以上の調査結果に基づき、普通科における教育改革の現状と成果を検討し、高等学校の改革の進展の方向やあるべき高校教育の姿を明らかにしていくことにしている。
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