研究課題
基盤研究(C)
中国の高等教育はきわめて短期間に拡大を遂げ、2005年の進学率はすでに21%に達し、大衆化の段階に入った。その拡大の中心的な担い手となっているのは、国公立大学であり、国公立大学の様々な「斬新的」運営方法によって進められてきた。近年迅速に拡大しつつある国公立大学の「二級学院」通称「独立学院」(140校)や、国公立大学の中に設置されてきたオンライン学院〔68校〕、そして国公立大学自身の規模拡大は、高等教育人口の飛躍的な増加をもたらした。中国の国公立大学は一方で国家の教育財政に依存しながら、他方で競争的資金、授業料収入、大学産業や社会への教育サービスによる資金調達によって大きく発展してきた。平成17年度の本研究では、国公立大学のガバナンスと財政の構造の視点から、中国における高等教育拡張と重点化における財政構造上の特質および社会的な機能を分析することを目的とした。そこで本年度の調査対象校としていた北京大学の財源構造を見た場合、政府財政からの資金の割合は5割程度であり、残りの半分は大学の自己調達資金となっている。しかし、同じ国公立大学の中でもこの財政構造には大きな格差がある。現代中国の国公立大学の管理・財政構造の特質については、中国において必ずしも十分な研究が進んでいるとはいえない。また日本において、こうした中国の実状が文献や法規などには明確に現れていないために、ほとんど正確に認識されていない。したがって、研究の基礎を形成するために、「985工程」の対象となる全国的なCOEに該当する、清華大学、北京大学などの国立大学をインタビューの対象大学とし、また中国教育部の国家教育発展センターでもインタビュー調査を行った。調査において収集した資料のうち、主要な法規等については、中国語から日本語への翻訳を行い、またインタビューの記録を整理・分析し、研究レポート、学術書の一部分として発表・刊行した。
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現代アジアの教育計画(山内幹史, 杉本均編)(学文社) 下巻
ページ: 263-277
『知の国際交流を支援するネットワーク学習コミュニティの形成に関する研究』科学研究費報告書 基盤研究(A)(1),研究代表者・坂元昂.
大学論集 第37集
ページ: 19-20
高等教育に関するメールマガジン「海の向こうのこぼれ話」 (Http://rihe.hiroshima-u.ac.jp/viewer)