研究課題
基盤研究(C)
2000年以降、中国の国公立大学は一方で国家の強い統制をうけながら、他方で財政的には競争的資金、授業料収入に大きく依存して拡大・発展してきた。最終年度の本年度では、「国民経済と社会発展第十一回五ヵ年計画」をもとに制定された「国家教育事業発展第十一回五ヵ年計画要綱2007」(教育部制定)、「2006-2020国家情報化発展戦略」などの政策文書の翻訳・分析を行ったとともに、高等教育の発展戦略、財政構造、高度化人材養成計画(留学生政策)などを分析した。こうした研究の結果、ほぼ以下の点が明らかになった。すなわち、国公立大学の量的拡大の中で、選択的な重点投資、という政策を可能にしているのは、国公立大学の特異な経営構造である。すなわち中国の国公立大学は財政面においては恒常的な政府補助金の水準は低く、政府の選択的な研究費投資、そして学生からの授業料収入、大学の経営的収入に大きく依存している。いわば統制面においては国公立大学の特色をもつが、財政面においては私立大学により近いということである。こうした構造によって大学構成員が激しい競争環境の中におかれ、また強力な財政インセンティブが与えられているのである。政府の管理の下で、高等教育の極端な市場化が進行しているとみることができる。そうした問題が様々な問題を起こし、それが社会的な関心を呼び、また政府も対応せざるを得なくなっている。経済の持続的成長の中での格差拡大とインフレーの懸念は現代の中国の大学の管理運営に新しいチャンレジをもたらしていると言えよう。
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