19年度においては、ゲーミング・シミュレーション教材「地球環境サミット」の実践を行うことを目標とした。直接対面型教材「地球環境サミット」については完成させることができた。また、インターネット型教材「WEB・地球環境サミット」については、別な教材(屠畜体験学習の是非)で掲示板によるネット議論を行ったが、セキュリティの問題やいわゆる「あらし」の問題もあったこと、また、予算的な問題もあったために完成には至っていない。しかしながら、前者の教材である直接対面型「地球環境サミット」の作成については、学生参加型のゲーミング・シミュレーション開発と実践を行い、完成させることができた。 地球環境問題は、様々な問題があるが、本教材では京都議定書以降の地球温暖化対策についての各国やNGOを含めた交渉の場をシミュレートしている。地球温暖化国際交渉に関する文献調査研究に基づき、場の設定、シナリオ作成、プロフィール(役柄)作成を行い、教材として作成した。しかしながら、教材の試行段階で温暖化問題をめぐる各国の交渉等が複雑なために、単純化を図るための手続きに時間をとった。最終的には、シナリオとして、2007年の9月に開催された気候変動枠組条約に関する国連ハイレベル会合のシナリオ、さらに、2008年7月に開催されるG8の北海道洞爺湖サミットのシナリオを作成した。加えて、これらのシナリオに関連させて、世界各国のプロファイルを53ヶ国分作成した。その上で、本教材の実践では、後者の北海道洞爺湖サミットのシナリオで実施して、「原子力発電所」をクリーン開発メカニズムに含めるべきかどうかの議論を行った。 その結果については、研究成果報告書にまとめているので割愛するが、学生は自らが作成した教材を用いた実践を通して、地球環境問題やこの問題をめぐる国際関係について多角的に考察することができた。目下、学生から報告された教材の意義や課題について、さらなる研究を展開しているところである。また、本教材のWEB版については、別なプロジェクトにより、セキュリティ面の問題を解決して、秋田大学のウェブページにアップロードする予定となっている。
|