本研究は、研究代表者がこれまで進めてきた、久保貞次郎の美術教育論に関する研究と鑑賞教育(創造美育運動において軽視されたもの)に関する研究をふまえて、我が国における児童中心主義(創造主義)の美術教育の実態や戦後美術教育に与えた影響について、創造美育運動を中心に実証的に明らかにし、合わせて、表現活動の偏重と鑑賞活動の軽視という我が国の美術教育が抱える構造的な問題を解決する方策を探ることを目的とするものである。 2年次である平成18年度は、以下の内容について研究を進めるとともに、施設設備の改善を図った。 (1)創造美育運動をめぐる時代背景に関する資料の整理 昨年度収集した書籍、雑誌、新聞等の掲載記事・論文等の文献資料の整理を行った。 (2)創造美育運動の実態及び欧米における児童中心主義の美術教育に関する調査 (1)創造美育運動に関する公刊された記録の分析をもとに、創造美育運動の実態を登録会員数の推移の視点から明らかにした。 (2)欧米における児童中心主義の美術教育の展開の一端を、英国の美術教育者であるウィリアム・ジョンストンの美術教育論の分析を通して明らかにした。 (3)平成18年度における研究成果の学術雑誌等での公開 (1)上記(2)の(1)の研究成果については、民間美術教育研究団体の年報において誌上発表した。 (2)上記(2)の(2)の研究成果については、学部紀要において誌上発表した。 (4)施設・設備の充実と改善 研究に必要な書籍の収集を行うとともに、データ処理に必要なノートパソコン及びプリンターを購入を行い、研究環境の改善を図った。
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