研究概要 |
本研究の目的は,我が国の学校教育において多様に実践されている「文化学習」の現状を調査・分析し,複雑な教育パターンを類型化・体系化し,具体的な教材を開発・実践することによって,今日のグローバル社会における「文化学習」の教育的意義と可能性を究明することを目的としている。本年度の研究内容と成果は,以下のとおりである。 1.平成18年度の継続研究として,「文化学習」の基底をなす市民性・公共性の育成に関する中学校社会科のまちづくりを中核とした「シティズンシップ教育」の実践的研究を行った。今回の研究・実践から「シティズンシップ教育」による教育改造の可能性として,(1)学習観の捉え直し,(2)教育内容(ソフトウェア)の組み直し,(3)学習モードの開発の3点の必要不可欠な条件を指摘した。 2.中・高校生が実際の選挙に投票体験することによって「政治」に興味・関心を高める「未成年『模擬』選挙セミナー-2008」(模擬選挙推進ネットワーク)との連携、協働を試行した。 3.ドイツのバイエルン州及びバーデン・ヴュルテンベルク州の学習指導要領,教科書を収集分析し,小・中学校における「文化」に関する学習の実情とその特色<総合性>と教育的意義を明らかにし,拙稿「ドイツにおける社会系教科カリキュラムと『教科横断的学習』」にまとめた。 4.「現代社会」の問題点を読解するためのテキストの条件について,(1)矛盾・葛藤・ジレンマの明瞭さ,(2)視野の拡大と深化,(3)数量・データ・統計の意味を内包する必要性を提示した。
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